ヘルプ

具体的な例や入力対象の情報の記載場所といったユーザの操作を助ける情報を、操作の直前その場所で提示することで、ユーザーが迷わないように誘導することができます。ただし、説明や注釈というものはおうおうにして読まれず、またきちんと理解されないものです。まずは自然にとるべき行動がわかるようにデザインしたうえで、それと組み合わせて、追加的な提示が有用な情報をヘルプとして提供します。操作の前提として長々とした注釈や説明文をよく読んで理解するようユーザーに押し付けてはいけません。あくまで補助的なものとして活用します。

ヒントとなる情報は必要になるタイミングやユーザーの求めに応じて示すという、段階的な開示という考えかたが有用です。はじめからすベて一度に表示すると、視覚的に煩雑になり、ユーザーが効率的に情報を拾うのを妨げ、わざわざ記載した情報が無視され役に立たないという事態を招くことになります。

必要なその場所で表示

※顧客IDと電話番号のどちらかひとつが必要です

プレースホルダー

プレースホルダーは、適切なデフォルト値の場合も含め値が入力済みの場合や、ユーザーが入力を開始した後は表示されないので、まったくの入力前のタイミングで手がかりを提示するものになります。プレースホルダーには文字数や使用可能な字などの制限や値の形式・桁数、入力例、入力するべき情報の記載場所といったユーザーの入力を助ける情報を入れておきます。「〇〇(ラベル名)を入力してください」といったものはなんら具体的な手がかりを示しておらず意味がありません。必要がなければ無理に入れることはありません。

注釈

注釈はどうしても必要な場合にのみ使用するようにしましょう。ユーザーにつねに注釈文をきちんと読んで理解し正しく判断したうえでの操作を要求するような負担をかけてはいけません。ユーザーに期待をするのではなく、そもそも注釈が必要でなくなるようにしましょう。責任回避のためのエクスキューズとして注釈を置いておくケースも見受けられますが、それはあくまでシステム提供側の都合であって、ユーザーにとっての利便性の視点に立ったものではありません。情報を関係性や序列、重要度に応じて適切に整理して誤解なく受け取られるようにデザインし、適切な制限がかかった入力方法を採用します。ユーザーがなんども解釈を誤り正しくない行動をするために、注釈文がそこかしこに必要になる状況だとしたら、それは紛らわしくしているデザインのほうに原因があります。

必要になるタイミングで表示

ユーザーの入力を助けるために入力の前から視界に入れておく必要がないような情報であったり、プレースホルダーに入れておくには説明的で少し長いテキストの場合には、ツールチップによるヘルプも有効です。

ユーザーの求めに応じて表示

ユーザー自身が必要としたときにのみ表示するならインラインガイドが利用できます。入力パーツのラベル部分につけたり、複数の要素をグルーピングした見出し部分につけることができます。はじめてや低頻度のユーザー向けのヘルプテキストなどは、常時表示したり入力のたびに表示するのではなくインラインガイドでユーザーが求めたときだけ表示をすると、高頻度で使用する慣れたユーザーにも煩わしさを感じさせずに済みます。

また、あらかじめ表示領域を広く必要としたりユーザーの視界を無駄に遮らないで済むので、画像を含んだりヘルプの内容にボリュームがある場合にも適しています。

見出しでのインラインガイド
商品情報
入力箇所でのインラインガイド

オーバーレイガイド

画面自体に一層かぶせたレイヤー上に、実際の対象箇所へ要素の解説や操作手順を示すこともできます。各箇所ごとの情報だけでなく、それらを結びつけた相互関連的な情報や順序も提示することができるため、取扱説明書の代わりにもなり得ます。システムを操作するためにわざわざテキストファイルや紙の冊子といった別のメディアを取り出すことなく、現在使用中の同じ画面内でまさに該当する実際の箇所に結びつけてマニュアルが参照できるのは使用体験をよいものにするでしょう。